必要保障額とは死亡保障の考え方と計算の手順

必要保障額とは、万一のときに遺族に必要な支出から、見込める収入を引いた不足額です。生命保険文化センターの積み上げ方式をもとに、計算の手順、検算できる例、見落としやすい点を整理します。
一次情報公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
必要保障額とは
必要保障額とは、世帯の働き手が亡くなったときに、遺された家族の生活のために追加で用意しておく必要がある金額の目安です。死亡保険の金額を決める前に、「いくら足りないのか」を知るための考え方です。
生命保険文化センターは、この金額を「必要保障額積み上げ方式」で求める方法を紹介しています。将来必要となる支出の見込みから、将来期待できる収入の見込みを差し引いた額を、必要保障額とする考え方です。
保険の金額は、「なんとなく大きいほうが安心」で決めると、保険料が過大になったり、逆に不足したりします。この項目では、計算の手順と、入れ忘れやすい項目を整理します。特定の保険商品の加入を勧めるものではありません。
基本(計算式)
必要保障額=支出見込額(必要になる金額)-収入見込額(期待できる金額)
| 区分 | 主な項目 |
|---|---|
| 支出見込額 | 末子が独立するまでの遺族の生活費、独立後の配偶者の生活費、子どもの教育費、葬儀費用など |
| 収入見込額 | 配偶者の就労収入、遺族年金などの公的保障、退職金、預貯金などの自己資産 |
生命保険文化センターの事例では、末子が独立するまでの生活費を現在の生活費の0.7倍、独立後の配偶者の生活費を0.5倍として計算しています。これは例示された係数で、世帯の事情で変わります。
必要保障額の具体例
数字は説明用の仮定です。末子が独立するまでの期間を20年、その後の配偶者の期間を30年とします。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 末子独立までの生活費 | 月30万円×0.7×12か月×20年 | 5,040万円 |
| 独立後の配偶者の生活費 | 月30万円×0.5×12か月×30年 | 5,400万円 |
| 教育費 | 仮定 | 1,000万円 |
| 葬儀費用など | 仮定 | 200万円 |
| 支出見込額 | 5,040+5,400+1,000+200 | 11,640万円 |
| 遺族年金などの公的保障 | 仮定 | 3,000万円 |
| 配偶者の就労収入 | 年200万円×30年 | 6,000万円 |
| 預貯金など | 仮定 | 800万円 |
| 収入見込額 | 3,000+6,000+800 | 9,800万円 |
| 必要保障額 | 11,640-9,800 | 1,840万円 |
この例では、不足は約1,840万円です。ただし、遺族年金の額は家族構成や加入歴で変わるため、実際は日本年金機構の資料や年金事務所で確認が必要です(遺族年金とは)。
必要保障額の実践ステップ
- 現在の毎月の生活費を、家計簿などから把握する。
- 末子が独立するまでの年数と、その後の配偶者の年数を決める。
- 教育費、葬儀費用、住宅ローンの有無(団体信用生命保険の有無)を確認する。
- 遺族年金、配偶者の収入、退職金、貯蓄の見込みを集める。
- 支出から収入を引き、不足額を出す。
- 不足額を、定期保険や収入保障など、必要な期間に合う形で備えるか検討する(定期保険と終身保険の違い)。
- 結婚・出産・住宅購入・転職などで条件が変わったら、見直す(保険の見直しのタイミングとは)。
必要保障額の注意点
- 必要保障額は、子どもが小さいほど大きく、成長とともに小さくなるのが一般的です。
- 計算に使う係数や年数は、あくまで目安です。
- 自営業は、遺族厚生年金や会社の退職金などが期待できず、会社員より大きくなりやすいと、生命保険文化センターの事例にあります。
- 住宅ローンに団体信用生命保険が付いていれば、ローン残高は支出に入れない場合があります。
必要保障額でよくあるミス
- 遺族年金などの公的保障を見込まず、必要保障額を過大に出す。
- 逆に、遺族年金の額を過大に見込む。
- 配偶者の収入を、まったく見込まない、または全額見込む。
- 一度決めた保障額を、何年も見直さない。
必要保障額のチェックリスト
- 生活費、教育費、葬儀費用を洗い出したか。
- 遺族年金、配偶者の収入、貯蓄を見込んだか。
- 住宅ローンの団体信用生命保険の有無を確認したか。
- 不足額に対して、必要な期間と金額を決めたか。
必要保障額のFAQ(よくある質問)
Q. 必要保障額は、一度計算すれば終わりですか。
A. 子どもの成長、収入、貯蓄、住宅ローンの変化で変わるため、ライフイベントごとに見直します。
Q. 独身の場合も必要ですか。
A. 扶養する家族がいなければ、遺族の生活費の備えは小さくなります。葬儀費用や、親への支援など、個別の事情で考えます。
Q. 計算結果が、そのまま保険金額ですか。
A. 目安です。貯蓄で備えるか、保険で備えるかは、各家庭の考え方で決まります。
筆者の見解(必要保障額)
必要保障額の計算は、保険の金額を決めるためというより、「家計の弱点を知る作業」だと筆者は考えます。計算してみると、公的保障や配偶者の収入で、思ったより不足が小さいことも、逆に大きいこともあります。保険の営業の提案を受ける前に、自分で一度試算しておくと、提案の内容を比べやすくなります。ここに書いた内容は一般論であり、個別の保険加入を助言するものではありません。
必要保障額の関連項目
出典(一次情報)
本記事は制度・用語に関する一般的な情報の提供を目的としており、特定の保険・金融商品の推奨や勧誘、税務・法律・投資に関する個別の助言ではありません。制度の内容・金額・期限は改正されるため、最新の内容は国税庁・金融庁・厚生労働省・日本年金機構・各保険会社などの公式ページでご確認ください。個別の判断は、税務署・年金事務所・保険会社・税理士などの専門家にご相談ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。




